会長挨拶

 

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令和7年1月1日

2025年頭のご挨拶

会 長 安田 豊

 謹んで新春のご祝詞を申し上げます。

会員各社の皆様並びに関係各位におかれましては、健やかに新年をお迎えになられたこととお慶び申し上げます。

さて昨年を顧みますと、国内では元旦から能登半島で地震が発生しその後も各地で自然災害が多発しており、被災地におかれましては一日も早い復興をお祈りいたします。一方、スポーツではパリ五輪で日本代表が45個のメダルを獲得し、また大谷翔平選手がメジャーリーグ史上初の「50ー50」を達成するなど、激動の社会の中でも明るい話題を提供してくれました。

国内の経済活動については、昨年は自動車生産が前年比で落ち込む中、年末には国内自動車大手が経営統合の協議を開始するという大きな動きがありました。また生成AI(人工知能)ブームで日本の半導体関連株が軒並み上昇し、日経平均株価は4万円台に達しバブル期の史上最高値を34年ぶりに更新、日銀は3月にマイナス金利を解除、さらに7月には0.25%の利上げをおこなうなど「失われた30年」と呼ばれたデフレからの脱却を印象づける動きが見られました。

為替は日米の金融政策の転換を迎える過程で乱高下があったものの円安基調が継続し一時34年ぶりとなる1ドル=160円台を付け、また人件費や物流費、原料・エネルギーコストの高騰を受けて、食品・日用品を中心に幅広い品目で値上げが相次ぎました。

国際情勢においては、ウクライナやガザ地区における戦闘は激化し、中台間の緊張も高まったことに加え、年末には韓国において戒厳令発出に端を発した大統領弾劾案が可決されました。また昨年は世界中で多くの国政選挙が実施され、アメリカでは自国第一主義を掲げるトランプ氏が次期大統領に返り咲き、イギリスにおいても労働党が勝利し、政権交代が実現しました。日本やフランス・インド等では政権交代には至らなかったものの与党が過半数割れし、日本では岸田首相から石破首相へ体制変更がなされました。

金属価格においても、地政学リスクを反映した国際商品の側面が際立つ相場展開となり、LME銅価格では一時トン当たり1万1,104ドル、NY金価格は一時トロイオンス当たり2,800ドルに達するなど、それぞれ史上最高値を更新しました。

さて、今年は相場格言では「辰巳天井」の後半の巳年で、相場上昇のトレンドがピークを迎える年ともいわれますが、干支では「乙巳(きのとみ)」にあたり、「乙」は「軋(きしむ)」に通じ、植物の循環では「草木が、困難があっても紆余曲折しながらもしなやかに伸びる状態」を意味しているということです。また巳は蛇を表し、蛇には一般的にネガティブなイメージもありますが、たくましい生命力があり、脱皮をするたびに表面の傷が治癒していくことから「再生と変化」の象徴とされ、総じて「乙巳」はこれまでの努力や準備が実を結び始める時期を意味すると捉えられます。変化の激しい情勢に振り回されることなく、粘り強くしたたかに取り組みながら成長につなげる更なる飛躍の年としたいところです。

日本をはじめ世界の多くの国が約束する「2050年までのカーボン・ニュートラル」という目標の実現には多くの投資が必要とされている一方、前述のような世界情勢の変化の中で、国や企業には、経済合理性のみならず経済安全保障を考慮した戦略が求められています。日本においても将来見通しに対する不確実性が高まる中、GX(グリーン・トランスフォーメーション)に向けた投資の予見可能性を高めるため、昨年12月に政府はエネルギー政策と産業構造の変革を通じて2040年までに脱炭素社会と産業振興の両立を目指す新たな長期的国家戦略「GX2040ビジョン」の案をまとめ公表しました。今後パブリックコメントを経て今年度中に閣議決定することになっています。このような取組みに関連する技術に用いられるレアメタルやそのリサイクルへの注目度も高まると予想されますが、これらのレアメタルは産出する量も地域も限定的であることが多く、世界的に争奪戦の様相を呈しています。

一方で、日本から海外市場に販路を求める製品もあり、その時々の製品の国際市場や国内需給に応じた柔軟かつ最適なリサイクルを行なう必要があります。そのためにも「国際資源循環」として海外からのリサイクル資源の集荷とそれらを日本でリサイクルして生産した素材・製品としての輸出還流による循環の促進が重要となります。当協会の会員各社はいずれも事業の一環として「レアメタル」「リサイクル」「循環型社会」に深く関わっておられますので、各社の役割の重要性や期待度は従前にも増して高まるものと確信しております。

当協会は今年創立50周年を迎えます。50年もの長きに亘り当協会が発展を続けてこられたことは、ひとえに関係ご当局・諸団体の皆様のご指導・ご支援と当協会会員各社の皆様のご協力によるものと深く感謝申し上げます。当協会としては引続き会員各社の事業への取組みのお役に立てるよう専心努力して参る所存ですので、是非とも関係ご当局並びに諸団体の皆様方には、当協会の活動に一層のご指導・ご支援を賜りますよう改めてお願い申し上げます。

最後になりましたが、会員各社のますますのご発展と、関係各位ならびにご家族のご多幸、ご健勝を祈念致しまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

JX金属㈱ 常務執行役員 金属・リサイクル事業部長

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